老眼とは?

目のオートフォーカス機能がなくなり、徐々に近くが見えにくくなってきます。この、加齢現象を老眼(老視)と言います。

人間は目の中でレンズの役割をする水晶体を厚くしたり薄くしたりして、遠くや近くにピントを合わせています。
若い頃の水晶体の機能は素晴らしく、自分の見たい距離に無意識のうちにオートフォーカスでピントが合います。
近視や遠視、乱視等の屈折異常のある方でも、眼鏡やコンタクトレンズを装用すれば
無意識のうちに見たい距離にピントが合います。

45~50 歳前後になると徐々に水晶体が固くなり、厚くなったり薄くなったりすることが出来なくなります。
すると、オートフォーカス機能がなくなり、徐々に近くが見えにくくなってきます。
この、加齢現象を老眼(老視)と言います。

多焦点眼内レンズとは?

焦点眼内レンズの欠点を補うため、遠くも近くもピントがあうように作られた眼内レンズが多焦点眼内レンズです。

白内障手術時に挿入する従来の眼内レンズ(単焦点眼内レンズ)はピントが合う位置が1カ所しかありません。
そのため遠くが見えるような眼内レンズを移植すると近くはピントが合わなくなる老眼になり、
近用または遠近両用眼鏡が必要になります。

単焦点眼内レンズの欠点を補うため、遠くと近く(2焦点の場合)、遠くと近くと中間(3焦点の場合)に、
ピントがあうように作られた眼内レンズが多焦点眼内レンズです。

単焦点眼内レンズ(健康保険)

単焦点眼内レンズの見え方

遠くにピントを合わせた場合、遠くの風景はよく見えますが、近くの携帯電話はぼやけます。老眼鏡などが必要です。

※近くにピントを合わせた場合は、手元は裸眼で見えますが、中間~遠方は眼鏡が必要になります。

多焦点眼内レンズ(選定療養、自由診療)

多焦点眼内レンズの見え方

眼鏡なしで、遠くと近くに(2焦点の場合)、遠くと近くと中間に(3焦点の場合)、ピントが合います。

眼内レンズによる見え方の違いって?

多焦点眼内レンズで手術するメリット

老眼鏡なしで読み書きができたり、
携帯電話を見ることができます。

老眼鏡なしで買い物メモや価格表が見えます。

当院での多焦点眼内レンズを用いた白内障手術の実績

2007年に多焦点眼内レンズ(遠近両用眼内レンズ)が厚生省に認可され、日本でも白内障とともに老眼も治せる時代になりました。

当院では1500件以上の多焦点眼内レンズ手術を行ってきました。
多焦点眼内レンズはすさまじい速度で技術開発が進み、多くの方がその恩恵を得ています。
そのため、手術をすれば若い頃と同じような見え方に戻ると
過大な期待をされる方もいます。しかし、最新の多焦点眼内レンズでも、
若い頃のオートフォーカス機能を持った水晶体にはかないません。 
とは言っても、当院での長年の実績からも多焦点眼内レンズを受けられた多くの方が
眼鏡をほとんど必要としない快適な生活を送っているのは事実です。
院長の母親、副院長の母親も多焦点眼内レンズで手術を行いました。

多焦点眼内レンズを用いた
白内障手術の実績 
合計1,548件

多焦点眼内レンズ術後の裸眼視力と眼鏡の使用率

多焦点眼内レンズ術後の裸眼視力

多焦点眼内レンズの術後裸眼視力(当院での167眼のデータ)
  • 遠方裸眼視力
  • 近方裸眼視力

古賀貴久、古賀朋代. アポダイズ回折型多焦点眼内レンズの術後裸眼視力に関与する因子.
日眼会誌119:846-854 2015. より改編

多焦点眼内レンズ術後の年齢と裸眼視力1.0以上の割合

白内障術後の視力はどこで決まるの?

ヒトは目に入った情報を網膜で感じ取り視神経を通って脳に伝わり物を見ています。白内障手術はどの方も同じように行いますが、最終的には脳神経がどれくらい元気に働いているかで術後の視力は決まります。高齢になると脳神経も老化するため、単焦点でも多焦点でも視力回復に限界があります。
若い時と同じようには見えません

単焦点・多焦点眼内レンズの眼鏡の使用率

まとめ

多焦点は単焦点に比べて眼鏡の使用頻度を減らす効果があります。
多焦点のほとんどの方(96%)が遠方裸眼視力0.7以上、近方裸眼視力0.5以上になり、車の運転も法律的にも眼鏡が不要になり、新聞の字も読めるようになり、日常的にはほぼ眼鏡が不要になります。

しかし、運転する時は遠くまで出来るだけハッキリ見たい方や、新聞の字よりも小さなものを見たい方は眼鏡で対処されています(約15%)。特にコンピューター作業をする方や長時間の読書をする方は眼鏡を掛けた方が楽と言われます。
手術後に生活してみて、見えにくい場面があるようでしたら、ご相談ください。

患者さんからのコメント

多焦点眼内レンズを選ばれた患者さんから
お喜びの声が届きました♪

仕事に関して
農業・漁業
眼鏡なしで、野外の手元の作業ができ、便利です。
接客業
老眼鏡なしで、書類確認や伝票記入でき、若々しく見えるようになりました。
料理人
老眼鏡をかけると湯気で雲っていましたが、老眼鏡なしで料理できます。
理・美容業
老眼鏡なしで、手元の髪が切れ、鏡も見えて満足です。
趣味に関して
温泉
遠くの景色も、足元も、ボディーソープやシャンプーの表示も見えるようになりました。
ゴルフ
スコアをつけるときに老眼鏡を掛ける必要がなくなりました。
テニス
相手のサーブから手元に来るボールまで見えるようになりました。
生活に関して
化粧
老眼鏡なしで、化粧がとてもしやすくなりました。
運転
眼鏡なしで、運転しながらカーナビが見えるようになりました。
テレビ
番組表を見たいときに、老眼鏡を探す手間がなくなりました。
家事
料理もアイロンがけも、眼鏡なしで出来るようになりました。

多焦点眼内レンズについて知ってほしいこと

① 多焦点眼内レンズの構造による違い

屈折型と回折型

屈折型は遠方が見える単焦点と近方が見える単焦点を組み合わせたレンズです。中央が遠方が見える単焦点、その周辺に近方が見える単焦点、最周辺部に遠方が見える単焦点を組み合わせた同心円状のもの(アイシー)と、上半分が遠方が見える単焦点、下半分が近方が見える単焦点を組み合わせた分節型(レンティスMプラス)とがあります。屈折型の最大の利点は単焦点の組み合わせのためコントラスト(見え方のくっきりさ)がよいことです。欠点はアイシーでは近方部分が少ないため近方の見え方がいま一つなこと、レンティスMプラスは高齢者では遠近の境目のため、物がダブって見える可能性があることです。

回折型はレンズ表面に同心円状の回折溝があり、光がこの部分を通過する際に、光の回折現象を利用して光を遠近(もしくは遠中近)に振り分け、遠近(もしくは遠中近)がバランスよく見えるため、現在の主流は回折型レンズになっています。

屈折型
(アイシー)

同心円状に
遠方、近方、遠方の
3つのレンズの組み合わせ

屈折型
(レンティスMプラス)

上方が遠方、下方が近方の
2つのレンズの組み合わせ

回折型

多数の同心円状の
回折溝で遠近(遠中近)に光を分ける

② 多焦点眼内レンズのタイプを知る

 多焦点眼内レンズは見え方の違いから、大きく以下のように分けられます。まずは、どのような見え方を希望されるか考えてみてください。
2焦点とは? 3焦点とは?

最初に日本で普及した多焦点眼内レンズは近方30cm焦点の2焦点でした。このレンズの登場で遠くも近くも眼鏡なしで見ることが可能になりました。しかし、料理、人との会話、買い物で商品の陳列を見る時など50cm ~1mの中間距離がいま一つという欠点がありました。

この欠点を改善するため、目に入る光を遠近の2つに分けるのではなく、遠中近の3つに分け、遠方から近方まで自然な見え方になる3焦点眼内レンズが開発され、現在では主流になってきています。

ただし、近方焦点距離が30cmのものは2焦点しかありませんので、もともと近視で眼鏡を外して30cm前後、もしくはもっと近くで物を見る習慣のある人や、身長が低い方には、現在も2焦点が使用されています。

2焦点、3焦点の欠点はコントラストが単焦点よりやや劣ることと夜間の運転時に乱反射することです(詳しくは→多焦点眼内レンズの欠点)。多くの方は時間とともに見え方に順応し自然な見え方になります(脳順応)が、①小さなことが気になる神経質な方、②脳機能が低下した高齢者では脳順応が起こりにくく不向きです。

遠方優位タイプとは?

多焦点眼内レンズの欠点であるコントラストが単焦点よりやや劣ることを改善するため、近方への光配分を減らし、遠方と50cm前後くらいにピントを合わせた2焦点眼内レンズです。外食する時のメニュー、買い物に行った時の値札、郵便物、新聞のテレビ欄など日常生活でちょっと近くが見たい時に、老眼鏡なしで50cm程度に少し離せば見えるというのは単焦点にはない利点です。

しかし、新聞をじっくり読みたい時、パソコンを長時間する時などは50cmは遠く感じる方が多く、眼鏡を使用した方が疲れにくいと思います。ちょうど50歳代前半の初期老眼の見え方に近いレンズです。

焦点拡張タイプとは?

今まで紹介した多焦点眼内レンズが遠近、または遠中近に光を分けるコンセプトで作られているのに対し、ピントの合う幅を広くして遠方~近方まで連続的に見えるようにしようという考え方が焦点拡張タイプです。コンセプトはよいのですが、現時点では遠方から中間くらいまで見えるというのが現状です。

多焦点眼内レンズの見え方のイメージ

2焦点、3焦点の見え方

遠近または遠中近が見えるが、
単焦点よりくっきりさはやや劣る

遠方優位タイプの見え方

遠くは単焦点同等にくっきり見えるが、
近くは遠くの見え方より劣る

③ 光エネルギー配分と焦点距離、光の損失について

多焦点眼内レンズは、目に入る光を遠方用、近方用(3焦点の場合はさらに中間)に分け、遠近(3焦点の場合は遠中近)とも見やすくする原理で作られています。そのため、術後の遠近(3焦点の場合は遠中近)の見え方は、目に入る光エネルギーをどのように分けるかで決まってきます。

光を分ける際に遠方、近方、中間のどこにもピントが合わない光が損失となります。そのため、光の損失が少ないレンズほど効率的なレンズになります。初期の多焦点眼内レンズでは光の損失が20%程度ありましたが、改良が重ねられ、最近のものは10%前後のものが多くなってきました。

レンズ選びで一番気にしてほしいのは焦点距離です。多焦点眼内レンズの多くは欧米で作られています。背の高い欧米人を対象に作られているため、焦点距離が40cm以上のレンズが多く日本人にとっては遠く感じることがよくあります。日本人でも身長が高く手足が長い方は大丈夫ですが、一般的な日本人体型の方は焦点距離が35cmのものがよいと思います。近視で眼鏡を使用していて、眼鏡を外して近くを見る習慣のある方は近方を見る時の距離が近いことが多々あります。また、身長が低い人は35cmの焦点距離でも遠く感じる方がいます。そのような方には30cmにピントが合う2焦点レンズがよいと思います。

実際に近方がどの距離が見たいかは新聞を読む時、スマートフォンやコンピューターを使用する時、裁縫をする時などの日常生活で自分がどの距離で見ているか、どの距離が見たいかをメジャーを使って測ってもらうのが一番良いと思います。

どの距離が見たいかメジャーを使って測る

多焦点眼内レンズの欠点

コントラスト(くっきりさ)がやや劣る

多焦点眼内レンズは目に入る光を遠近もしくは遠中近に分ける原理のため、特に回折型では健康保険の単焦点に比べて、コントラスト(見え方のくっきりさ)がやや劣るという欠点があります。普通は1週間から1か月程度で見え方に慣れ自然な見え方になり、日常生活で問題になることはありません。

ただし、①細かいものまでくっきり見たい方、②神経質な方、③白内障以外の目の病気がある方、④脳機能の低下したご高齢の方には不向きのことがあります。そのような方には、単焦点で行うか単焦点と同程度にコントラストが良い遠方優位タイプのレンズを選ぶという選択肢もあります。

グレア・ハロー

夜間に強い光(対向車のヘッドライトなど)を見たときに光をまぶしく感じたり(グレア)、光の周辺に輪がかかって見えたり(ハロー)する症状です。このグレア・ハローは正常な水晶体より眼内レンズの方が強く、単焦点眼内レンズより多焦点眼内レンズの方が強いと報告されています。手術直後に強く感じ、徐々に順応して1~2か月で気にならなくなる方がほとんどです。夜間の運転をよくする長距離トラック運転手やタクシー運転手、小さなことが気になる神経質な方は多焦点眼内レンズは避けた方が無難と思います。

夜間にハロー・グレアを感じることがあります
通常の見え方
ハロー・グレアの見え方
時間とともに軽快し、気にならなくなる方が多いようです

多焦点眼内レンズの向き不向き

多焦点眼内レンズは見え方の違いから、大きく以下のように分けられます。まずは、どのような見え方を希望されるか考えてみてください。
多焦点に向いている方、単焦点に向いている方
  多焦点に向いている方 単焦点に向いている方
(多焦点に向いてない方)
見え方の要望 出来るだけ眼鏡を掛けずに
遠くも近くも(中間も)見たい
眼鏡を掛けてでも
くっきり見たい
年齢(脳年齢) 若い 高齢
性格 おおらか
前向き
神経質
完璧主義
ライフスタイル 右記以外の方 細かいものまで
くっきり見たいような
職業や趣味のある方
夜間の運転 しない
あまりしない
よくする
屈折の状態 遠視、正視、
近視でコンタクト使用の方
近視で眼鏡を使用し、
眼鏡を外して近くを見る方
白内障以外の
眼の病気
ない
あっても軽度
ある

①多焦点眼内レンズと年齢との関係

単焦点眼内レンズは1か所にピントが合い完全な老眼になる眼内レンズです。老眼を全く感じていない若い方が単焦点で手術を受けると、老眼の見え方の不自由さに初めて気づき不満をもつことが多々あります。50歳未満で老眼を全く感じない、もしくはわずかに感じる程度の方は老眼にならない多焦点眼内レンズの方が良いと思います。50歳代の方も遠近、遠中近が見える見え方に慣れやすく多焦点眼内レンズに向いています。

逆に、数十年間にわたって老眼の状態で生活してきた高齢者では単焦点の方が無難です。理由は、遠視や正視で老眼鏡を使用していた方にとっては、手術後も手術前と同じように老眼鏡を使用することになり、もともと近視で眼鏡を掛けていた人にとっては術後も同じように眼鏡が必要となるため、手術による見え方の変化が少なく慣れやすいからです。

よく聞かれるのが「何歳まで多焦点眼内レンズは大丈夫なのか?」という質問です。75歳までとか80歳までとか言われていますが、実際は実年齢より脳年齢が大切と考えられています。当院でも80歳以上でもテニスやゴルフが好きで若々しく見える方は多焦点眼内レンズにも良く順応されることを、何度も経験しています。逆に、70歳代でも軽度の認知症の方など脳機能が低下している方は順応しにくいこともあります。

②多焦点眼内レンズと性格との関係

多焦点眼内レンズの初期から、「神経質な方、完璧主義な方は多焦点眼内レンズに向かない」と言われていました。実際に多数の手術を行うと、その通りだと思います。多焦点眼内レンズは遠くも近くもピントが合うという大きな利点がある一方で、やや見え方のくっきりさ(コントラスト)が劣る、夜間の運転時に光が乱反射する(グレア・ハロー)という欠点があります。通常はこれらの欠点に対しては脳が順応していき、徐々に自然な見え方になっていきます。

ところが、神経質な方や完璧主義な方は、これらの小さな欠点ばかりを気にするあまり脳順応が起きにくく、手術自体に不満を感じるようになる方がいます。多焦点眼内レンズの大部分の方はとても満足されますが、単焦点眼内レンズに入れ換えてほしいと思う方が1%前後いて、当院でも実際に入れ換え手術を行っています。

もともと遠視や正視で遠くが見えていて老眼鏡を使用していた方にとっては術後も同じように老眼鏡が必要となり、もともと近視で眼鏡を掛けていた方にとっては術後も同じように眼鏡が必要となる単焦点眼内レンズの方が、手術による見え方の変化が少なく慣れやすいため、環境の変化への順応に時間がかかる神経質な方や完璧主義な方には無難と思います。

③多焦点眼内レンズとライフスタイルとの関係

多焦点眼内レンズは光を分けて遠近もしくは遠中近を見る原理のため、見え方のくっきりさ(コントラスト)は単焦点よりやや劣りますが、日常生活での眼鏡の必要性が少なくなります。スポーツ好きや旅行好きで社交的で活動的な方に大変喜ばれます。また、お客様の前で老眼鏡を掛けたくないようなサービス業、接客業の方にもとても喜ばれます。

一方で、細かいことまでくっきり見たい職業(例えばウエブデザイナーやコンピューターの細かい文字を一日中見ている仕事など)では、見え方がクッキリする単焦点で手術を受け眼鏡を掛ける方が向いています。

④多焦点眼内レンズと近視との関係

もともと近視で眼鏡を掛けていた方は眼鏡を外して近くを見る習慣のある方が多くいます。しかし、多焦点眼内レンズの多くは外国製で、近方の焦点距離が遠いものがほとんどです。そのため、もともと近視の方が多焦点眼内レンズの手術を受けると「近くが見えにくくなった」と不満に思われることが時々あります。今まで見えていた位置より焦点が合う位置が遠くなるためで、多くの方は新しい焦点距離に順応していきますが、環境の変化に順応しにくい神経質な方では、なかなか慣れないこともあります。

①近視で眼鏡を普段かけていて眼鏡を外して近くを見る習慣のある方で、②神経質な方は、多焦点は避けて単焦点で手術前と同じ程度の近視になるように手術して、出来るだけ環境の変化を小さくすることを勧めています。

⑤多焦点眼内レンズと白内障以外の眼の病気や脳の病気との関係

多焦点眼内レンズは目に入る光を遠近(または遠中近)に分けるため、すべての光を1か所に集める単焦点より見え方の質(コントラスト)は原理的に劣ります。ただし、網膜や視神経、脳の機能に問題がないと、このコントラストの差は、ほとんど問題になることはありません。

しかし、白内障以外の眼の病気(角膜の病気、緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症などの網膜の病気、視神経の病気など)がある場合は、白内障手術をしても、見え方の回復に限界があります。このような方に多焦点で手術を行うと、すべての光を1か所に集める単焦点よりずっと見えにくく感じる可能性があります。そのため、視力に関係するような白内障以外の眼の病気がある方は単焦点の方をお勧めしています。
(白内障以外の眼の病気が、ごく軽度の場合は多焦点でも問題ありません。手術前に検査してどの程度の視力改善が期待できるか説明します)

多焦点眼内レンズに不安を感じる方へ

①ミックス・アンド・マッチという方法

多焦点眼内レンズは様々な種類があり、それぞれ利点・欠点があります。左右に違うレンズを移植し、それぞれの利点を生かし、それぞれの欠点を補い合う方法をミックス・アンド・マッチと言います。

実際、術前にどのレンズがよいか迷われる方はたくさんいます。当院では、まず自分がベストと思われる眼内レンズを片眼に移植し、手術後にその見え方を十分に確認して頂いてから他眼の眼内レンズの種類を考える方法をとっています。例えば、もう少し近い距離を見たいなら他眼には焦点が合う位置が近いレンズを、もう少しはっきり見たいなら他眼にはコントラスト(くっきりさ)に優れたレンズを移植するなどして対処します。

手術後に見え方を確認するには、通常の日常生活、仕事、趣味、運転などいろいろな場面での見え方を確認して頂かなければならず、そのため両眼の多焦点眼内レンズを希望される方は2週間以上の間隔を空けて手術を計画します。片眼の手術の後に見え方に慣れにくい場合には一旦手術を延期して十分に見え方に慣れてから他眼の手術方法を考えます。手術後に見え方に不安がある、不満があるような場合は、遠慮せずに職員や医師に言ってください。今までの多数の経験から最も良いと思われる対応法を考えます。

②どうしても多焦点眼内レンズの見え方に慣れなかったら?

多焦点眼内レンズはコントラスト(見え方のくっきりさ)が単焦点よりやや劣ることが知られていますが、徐々に見え方に脳が順応して自然な見え方になります。多焦点眼内レンズのもう一つの欠点として夜間の運転時に対向車のヘッドライトが乱反射するグレア・ハローがありますが、ほとんどの方が数か月で見え方に脳が順応し気にならなくなります。しかし、環境の変化に順応しにくい神経質な方や、脳機能の低下したような高齢者の中には、なかなか脳順応が起こらずに、多焦点眼内レンズの見え方にどうしても慣れずに眼内レンズの入れ換え手術を希望する方が1%程度いると言われています。当院でも約1500眼の多焦点眼内レンズの手術を行ってきましたが、同じように約1%の方で単焦点眼内レンズに入れ換え手術を行いました。手術前に、多焦点眼内レンズが脳に順応できるかどうかが分かれば良いのですが、人の性格や脳機能を眼科医が手術前に正確に判断するのは難しく、実際は手術してみないと分からないというのが現状です。

一般に白内障手術では、術後徐々に眼内レンズと水晶体の袋がくっついて(癒着して)眼内で安定します。手術後3~4か月以内でしたらまだ癒着が少ないのでほぼ安全に眼内レンズの入れ換え手術を行うことが出来ますが、術後半年以上経ち癒着すると合併症が起こる可能性が高くなると言われています。当院では手術後3か月以内に多焦点眼内レンズから単焦点眼内レンズへ入れ換え手術をする場合は無料で行っています。

また、手術後どこにも異常がないにもかかわらず、「何となくかすむ」、「ふわふわ影が見えて見えにくい」と感じられる方の中に硝子体の混濁が原因の事があります。当院では硝子体手術を行っていませんので、硝子体手術の専門の施設に紹介し硝子体の濁りをとる手術を受けることで、見え方が劇的に改善することもあります。

眼内レンズの選択は、その後の人生の見え方を左右するので、どの眼内レンズが自分に一番合うか、あれこれ悩まれる方も多数いらっしゃいます。合わないと思う場合は、眼内レンズを入れ換えてやり直すというのも一つの手です。手術後に、見え方に不安や不満がある場合は気軽に医師や職員に相談して頂けたらと思います。一緒に解決法を考えます。

多焦点眼内レンズの費用

選定療養と自由診療の違い

わが国で多焦点眼内レンズの手術を受ける場合、選定療養か自由診療のどちらかの制度で受けることになります。選定療養で使用可能な多焦点眼内レンズはすべて厚労省に承認されたレンズです。厚労省の承認を得るには数多くの臨床治験を行う必要があり、かなりの年月を必要とします。そのため、選定療養で使用される眼内レンズは最新の技術の眼内レンズというより、数多くの実績がある歴史のある眼内レンズと言えます。

選定療養では白内障手術の技術料、術後の検査、診察、投薬の費用が健康保険の適応で、多焦点眼内レンズに係る費用が全額自己負担です。そのため、自己負担額が自由診療より安くなる利点があります。

しかし、世界に目を向けると、多焦点眼内レンズの技術進歩は速く、新しい素晴らしい技術を搭載した眼内レンズが次々と開発されています。それらの多くはEU諸国の企業(ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ)で作られています。もちろんEUでも臨床治験が行われ、それに合格した眼内レンズが日本での厚労省の承認に該当するCEマークを取得し販売可能となります。EUでのCEマークの取得は日本での厚労省の承認よりかなりスピード感があるため、最新技術を搭載した多焦点眼内レンズの多くはEU諸国のレンズになります。これらの眼内レンズは日本での承認を得てないため、完全に自由診療となります。国内承認の多焦点眼内レンズは製造範囲がある程度決まっており、強度近視の方などは、ピッタリと合う度数が無い場合もあります。しかし、ヨーロッパで製造されている未承認の多焦点眼内レンズは、幅広い度数が準備され、さらに眼内レンズによってはその人にぴったり合うレンズをオーダーメイドで作成できるため、近視の強い方や乱視の強い方にも対応することが出来ます。

未承認の多焦点眼内レンズでの手術では、白内障手術自体の技術料の他に、術後の検査、診察、投薬の費用も自己負担になり、当院ではそれらすべてを自由診療の費用に含んでいます。自由診療の価格が選定療養に比較すると高いと思われるかもしれませんが、白内障手術自体の技術料、術後の検査、診察、投薬費用も含まれていることを考えると実は価格の差はあまり大きくはありません。

「選定療養:多焦点眼内レンズに係る費用」と「自由診療」費用のお支払い方法 : 銀行振込
         
※健康保険適応のご費用に関しては、窓口で現金でのお支払いとなります。

当院で使用している多焦点眼内レンズ

各種多焦点眼内レンズの特長

回折型2焦点

テクニスマルチ(米国)選定療養

2009年に国内で承認された歴史と数多くの実績のある2焦点眼内レンズ。初期の多焦点眼内レンズのため光の損失が18%と多く、光エネルギーは遠方に41%、近方に41%配分されます。このレンズには近方焦点距離の違いから、以下の3つのモデルがあります。

①読書や裁縫に適した30cm
②ノートパソコン、スマートフォンに適した40cm
③料理やデスクトップパソコン、スポーツに適した50cm

中間距離の視力の落ち込みがあるため、最近は3焦点を選ぶ方が増え、使用頻度が減ってきています。近方焦点距離が30cmのものはこのテクニスマルチしかないため、もともと近視で眼鏡を外して物を近づけて見る習慣のある方、身長が低い方にはおすすめです。

ただし、乱視対応のものはありません。

光のエネルギー配分
遠方 41%
近方(30・40・50cmの3種) 41%
光の損失 18%
総合評価
近視で眼鏡を使用していて眼鏡を外して近くを見る習慣のある方、身長の低い方におすすめ。
手術費用(片眼)
白内障手術の技術料(健康保険適応) 多焦点眼内レンズに係る費用(税込)
1割負担 約1.3万円
2割負担 約2.6万円
3割負担 約4万円
22万円

屈折型2焦点

レンティスMプラス(ドイツ)自由診療

上方が遠方、下方が近方約45cmのところに焦点が合う単焦点レンズを組み合わせた多焦点眼内レンズ。光エネルギーは遠方に55%、近方に40%配分され、回折型レンズと比べて光の損失が5%と非常に少なく、しかも単焦点眼内レンズの組み合わせのため、コントラスト(見え方のくっきりさ)が良いレンズ。遠方と近方(約45cm)の2焦点ですが、それぞれのコントラストが良いため中間の見え方の落ち込みが少なく、近方も35cmから55cmくらいまでピントが合います。乱視矯正用レンズは0.01D刻みと従来の眼内レンズの50倍の精度でオーダーメイドで作成できる世界最高精度のレンズです。

しかし、欠点としてゴーストと呼ばれる物がダブって見える現象があります。レンズの遠近の境界部分で像のギャップが出来ることが原因と考えられています。脳機能のよい若い方は多少の像のずれやギャップがあっても、それを補正してしまう機能(脳順応)が優れているため、まず問題になることはありません。しかし、高齢で脳機能が低下している方や細かいことばかりが気になる神経質な方はゴースト現象を強く感じる方がいます。

回折型のような同心円状の溝がないためハローは少ないと言われています。遠方と近方の境目があるため、強い光を見ると乱反射して見えるグレアがあり、夜間の運転を重視する方には不向きです。

おおむね50歳未満の若い方にお勧めのレンズです。

遠方と35~55cmくらいに焦点が合う。中間の落ち込みは少ない。

光のエネルギー配分
遠方 55%
近方(45cm) 40%
光の損失 5%
総合評価
若い方には最適。高齢者はゴーストを感じることがあり注意。
手術費用(片眼)
乱視なしの場合 乱視ありの場合
55万円(税込) 63万円(税込)

回折型3焦点

パンオプティクス(米国)選定療養

中間は約60cm、近方は約40cmに焦点が合う選定療養の適応となっている3焦点眼内レンズ。光エネルギーの配分は遠方が44%、中間が22%、近方が22%(瞳孔径3mmのとき)で、近方が22%のため薄暗いところでは、見えにくく感じることがありますが、手元を明るくすることで対処できます。光の損失は12%です。

しかし、身長の低い方では近方焦点距離の40cmが遠く感じる方がいます。遠方から40cmくらいまで見たい方には最適なレンズですが、もっと近い距離が見たい方は別のレンズを選ばれた方がよいと思います。

遠方から40cmくらいにピントが合う

光のエネルギー配分
遠方 44%
中間(60cm) 22%
近方(40cm) 22%
光の損失 12%
総合評価
遠方~40cmくらいが見やすくなるレンズ。もう少し近いところが見たいなら別のレンズを。
手術費用(片眼)
白内障手術の技術料(健康保険適応) 多焦点眼内レンズに係る費用(税込)
1割負担 約1.3万円
2割負担 約2.6万円
3割負担 約4万円
33万円
(乱視なし)
38.5万円
(乱視あり)
ファインビジョン(ベルギー)自由診療

2011年に発売された世界初の回折型の3焦点眼内レンズで、日本でも多くの方に使用されてきたレンズです。中間は約70cm、近方は約35cmのところに焦点が合い、光の損失は14%です。光エネルギー配分は遠方に43% と多く、次に読み書きに必要な近方35cmに28%、最後にコンピューターなどの中間70cmに15%とバランスがよく(瞳孔3mmのとき)、近方の焦点距離が35cmと日本人の体型に適した距離です。

一般的な回折型のギザギザした断面(左図)をスムーズにして(右図)、
乱反射を抑え、グレア・ハローを少なくしている

光のエネルギー配分
遠方 43%
中間(70cm) 15%
近方(35cm) 28%
光の損失 14%
総合評価
遠中近のバランスがよく日本人に最も適した3焦点眼内レンズ。迷う方はこれを。
手術費用(片眼)
乱視なしの場合 乱視ありの場合
55万円(税込) 63万円(税込)
レイワン(イギリス)自由診療

世界で初めて眼内レンズを製造したイギリスのレイナー社が2017年にEUでCEマークを取得し販売開始した新しい3焦点眼内レンズ。中間は約70cm、近方は約35cmに焦点が合い日本人に適した距離です。光の損失も11%と小さく、光のエネルギー配分は遠方が46%、中間が20%、近方が23%です。もともと遠視や正視で遠くは裸眼である程度見えていた方には最適なレンズです。比較的新しいレンズで日本でのデータはまだ少ないのが現状です。

光のエネルギー配分
遠方 46%
中間(70cm) 20%
近方(35cm) 23%
光の損失 11%
総合評価
遠中近のバランスがよく日本人に適したレンズ。国内実績はまだ少ない。
手術費用(片眼)
乱視なしの場合 乱視ありの場合
55万円(税込) 63万円(税込)
アクリバ・トリノバ(オランダ)自由診療

2017年にEUでCEマークを取得し販売が開始された比較的新しい3焦点眼内レンズ。中間は約90cm、近方は約45cmの焦点距離で、光のエネルギー配分は遠方が36%、中間が30%、近方が26%で(瞳孔3mmのとき)、遠中近すべての距離で同じような見え方になります。

レンズの表面はギザギザが少ないなめらかな同心円状のパターンのため、光の乱反射が比較的少なく、光のグレアやハローが回折型多焦点の中では少ない構造です。光の乱反射が少なく多くの光を有効に使用できるため光エネルギーの損失は8%と回折型の中では非常に小さな値です。

遠中近の光エネルギーの配分のバランスが良く光の損失も少ない優れたレンズですが、世界一平均身長の高いオランダのレンズであり、近方の焦点距離が45cmで、平均的な体型の日本人では遠く感じます。手足の長い身長の高い方に適したレンズです。

一般的な3焦点レンズの表面と断面:ギザギザの部分が乱反射してグレア・ハローの原因、光の損失の原因となる。

アクリバ・トリノバの表面と断面:なめらかな正弦波パターンで光を分けるため乱反射が少ないためグレア・ハローが少なく、光の損失も少ない。

光のエネルギー配分
遠方 36%
中間(90cm) 30%
近方(45cm) 26%
光の損失 8%
総合評価
近方の焦点距離が45cmと遠く、手足の長い身長の高い方に向いている。
手術費用(片眼)
乱視なしの場合 乱視ありの場合
55万円(税込) 63万円(税込)
アルサフィット(ドイツ)自由診療

2018年にEUでCEマークを取得し販売が始まった比較的新しい3焦点眼内レンズ。中間は約70cm、近方は約35cmのところに焦点が合い、光エネルギーの配分は遠方が33%、中間が32%、近方が26%です(瞳孔3mmのとき)。遠方のエネルギー配分が33%と比較的少ないため、車の運転をする方、遠方をしっかり見たい方は物足りなく感じる可能性があります。コンピューター作業や料理に必要な中間距離 (70cm)の光のエネルギー配分が32%と多いため、大都会に多い車の運転をしないデスクワーカーや、車の運転をしない主婦などに適したレンズです。

光学部6mmすべてが同心円状のスムーズな波状の回折パターンで、光の乱反射が比較的少なく、光のグレアやハローが回折型多焦点の中では少ない構造となっています。光の乱反射が少なく多くの光を有効に使用できるため光の損失は8.6%と回折型の中では非常に小さな値です。

一般的な3焦点レンズの断面:ギザギザの部分が乱反射してグレア・ハローや光の損失の原因となる。

アルサフィットの断面:波型の断面で光を分けるため乱反射が少なくグレア・ハローや光の損失が少ない。

光のエネルギー配分
遠方 33%
中間(70cm) 32%
近方(35cm) 26%
光の損失 8.6%
総合評価
遠方がやや弱く、車の運転をしない遠方をあまり重視しない人に向いている。
手術費用(片眼)
乱視なしの場合 乱視ありの場合
55万円(税込) 63万円(税込)

回折型5焦点

インテンシティ(イスラエル)自由診療

独自の技術(特許技術)で、光の損失を6.5%と回折型の中では極めて少なく抑えることで、光を最大限効率的に利用できるレンズ。遠方5mに36%、133cmに7%、80cmに21%、60cmに9%、40cmに21%(光の損失6.5%、瞳孔径3mmの時)に光を分けて5つの焦点を実現。

  • 各距離での見やすさ(MTF曲線)

    各距離での見やすさ(MTF曲線)
    遠方、80cmの中間距離、40㎝の近方が見やすくなります

  • 各回折型多焦点眼内レンズの光の損失

    各回折型多焦点眼内レンズの光の損失
    インテンシティは光の損失が6.5%と少なく効率的な眼内レンズです

  • 回折レンズの特徴である光を分けるレンズ表面のギザギザをスムーズにしてグレア・ハローを少なくしている

光のエネルギー配分
遠方 36%
遠中(133 ㎝) 7%
中間(80㎝) 21%
中近(60㎝) 9%
近方(40㎝) 21%
光の損失 6.5%
総合評価
最新技術で光の損失を6.5%までに抑えた効率的な眼内レンズ
手術費用(片眼)
乱視なしの場合 乱視ありの場合
55万円(税込) 63万円(税込)

連続焦点タイプ

テクニスシナジー(米国)選定療養

わが国で承認され現在まで使用されている最も歴史のある2焦点眼内レンズ・テクニスマルチと焦点拡張タイプのシンフォニーとの技術を融合して作った米国AMO社の最新の多焦点眼内レンズ(2021年5月発売)。遠方から手元(30cm)まで広範囲に連続的に見えるように設計されています。

  • 遠方から近方30cmまで連続的にピントが合う

    遠方から近方30cmまで連続的にピントが合う

  • 遠方から近方30cmまで平均視力0.8~1.0程度になったとされています(メーカー資料)

    遠方から近方30cmまで平均視力0.8~1.0程度になったとされています(メーカー資料)

光のエネルギー配分
連続焦点のためデータなし
総合評価
遠方から30㎝まで連続的に見えるという最も理想的なコンセプトで作られたレンズ
手術費用(片眼)
白内障手術の技術料(健康保険適応) 多焦点眼内レンズに係る費用(税込)
1割負担 約1.3万円
2割負担 約2.6万円
3割負担 約4万円
33万円
(乱視なし)
38.5万円
(乱視あり)

遠方優位タイプ

多焦点眼内レンズの欠点であるコントラストがやや劣ることを改善するため、近方への光配分を減らし、遠方と50cm前後くらいが見えるようにした2焦点眼内レンズ。そのため、手を伸ばすと新聞が見えるくらいの初期老眼のような見え方になります。逆に近くが眼鏡なしで見たいという要望が強い方はがっかりされることもあります。単焦点眼内レンズと従来の多焦点眼内レンズとのちょうど中間のような位置づけのレンズです。

アクティブ・フォーカス(米国)選定療養

屈折型と回折型の原理を合わせたようなハイブリッドタイプのレンズ。

中央の直径1mmが遠方にピントを合わせた単焦点眼内レンズで、その周辺に回折レンズが組み合わされた構造で、近方焦点距離は50cm前後で、光の損失は12.6%と低めに抑えられています。

光エネルギーの配分は遠方に69.4%、近方に18%で(瞳孔3mmのとき) 、遠くの見え方がよく単焦点と遜色ないと言われています。近くの見え方は単焦点より良いものの遠くの見え方より劣ります。外食する時のメニュー、買い物に行った時の値札、郵便物、新聞のテレビ欄など日常生活でちょっと近くが見たい時に、老眼鏡なしで50cm程度に少し離せば見えるというのは単焦点にはない利点です。

しかし、新聞をじっくり読みたい時、パソコンを長時間する時などは50cmは遠く感じる方が多く、眼鏡を使用した方が疲れにくいと思います。ちょうど50歳前後の初期老眼の見え方に近いレンズです。

多焦点眼内レンズの中では夜間に運転する時のグレア・ハローが比較的少ないと言われています。乱視に対応できるタイプもあり、遠方優位のレンズでは最も使いやすいレンズです。

光のエネルギー配分
遠方 69.4%
近方(50cm) 18%
光の損失 12.6%
総合評価
遠くの見え方は非常に良いが、近くは50cm焦点で遠方の見え方より劣る。
手術費用(片眼)
白内障手術の技術料(健康保険適応) 多焦点眼内レンズに係る費用(税込)
1割負担 約1.3万円
2割負担 約2.6万円
3割負担 約4万円
22万円
(乱視なし)
27.5万円
(乱視あり)
アイシー(日本)選定療養

中央2.3mmが遠方が見える単焦点、その回りにドーナッツ状に近方50cmに焦点の合う単焦点、最周辺部に遠方が見える単焦点の3つの単焦点の組み合わせから成る屈折型2焦点眼内レンズ。レンズ全体の面積配分から考えると遠方が85.5%で、近方が14.5%になり、中央2.3mmと結構広い部分が遠方に焦点が合う単焦点のため、遠方の見え方は単焦点眼内レンズと遜色ありません。近くは50cmの所が単焦点より見えるようになりますが、近くの見え方を期待している人には物足りなく感じます。近くがもう少し見たい場合は近用眼鏡(老眼鏡)で対処できます。それぞれのレンズの境界部分が乱反射するためグレア、ハローを強く感じる方がいて、夜間の運転を重視したい方には不向きです。乱視対応のものもありません。

光のエネルギー配分
遠方 85.5%
近方(50cm) 14.5%
総合評価
遠くの見え方は非常に良い。近くは50cm焦点で遠方の見え方より劣る。
手術費用(片眼)
白内障手術の技術料(健康保険適応) 多焦点眼内レンズに係る費用(税込)
1割負担 約1.3万円
2割負担 約2.6万円
3割負担 約4万円
22万円

焦点拡張タイプ

今まで紹介した多焦点眼内レンズが遠近、または遠中近に光を分けるコンセプトで作られているのに対し、ピントの合う幅を広くして遠方~近方まで連続的に見えるようにしようというコンセプトが焦点拡張タイプです。コンセプトはよいのですが、現時点では遠方から中間くらいまで見えるというのが現状です。

シンフォニー(米国)選定療養

回折型レンズで遠方から70cmくらいまでの範囲にピントが合います。遠方から70cmくらいまで見たい方で、近くを見るときは眼鏡(老眼鏡)を使用してもよいとお考えの方に適したレンズです。

総合評価
遠方~70cmくらいまで見える。
近くの見え方が弱点。
手術費用(片眼)
白内障手術の技術料(健康保険適応) 多焦点眼内レンズに係る費用(税込)
1割負担 約1.3万円
2割負担 約2.6万円
3割負担 約4万円
22万円
(乱視なし)
27.5万円
(乱視あり)
ミニウエル(イタリア)自由診療

正の球面収差と負の球面収差のレンズを組み合わせた新しいコンセプトの多焦点眼内レンズ。遠方から70cmくらいまでの範囲にピントが合います。

遠方から70cmくらいまで見たい方で、近くを見るときは眼鏡(老眼鏡)を使用してもよいとお考えの方に適したレンズです。

グレア、ハローは多焦点の中では最も少ないと言われています

総合評価
遠方~70cmくらいまで見える。
近くの見え方が弱点。
手術費用(片眼)
乱視なしの場合 乱視ありの場合
55万円(税込) 63万円(税込)

白内障手術のよくある質問

近視があっても受けられますか?
A. 基本的には受けられます。ただし近視が強い方は網膜の中心部の機能が落ちていて術後の視力が出にくいことがあります。
また、近視の強い方は眼内レンズの屈折誤差が出やすいことも知られています。適応があるかどうかは十分な検査をしてからご説明します。
手術自体のリスクは単焦点と違うのですか?
A. 基本的に手術の方法自体は変わりなく、手術時間も、合併症の頻度もほとんど変わりません。
ただし、多焦点眼内レンズは単焦点眼内レンズよりデリケートで、眼内レンズを傾きなく瞳孔中央に正確に固定する必要があります。
そのため、白内障手術に熟練した眼科医が行うべき手術です。
白内障は片目だけですが、片目の手術でも出来ますか?
A. 白内障の無い方の目の状態によりますが、基本的には手術できます。見えているつもりの逆の目にも白内障があることも結構あります。
左右の見え方のバランスが重要になるので、適応があるかどうかは十分な検査をしてからご説明します。
すでに片目は単焦点眼内レンズで手術を受けています。今回、逆の目が白内障になってきました。多焦点眼内レンズで手術が出来ますか?
A. すでに手術されている単焦点眼内レンズの目の屈折(近視、遠視、乱視の度数)の状態や、今回白内障になった目の状態によって総合的に判断します。適応があるかどうかは十分な検査をしてからご説明します。
完全予約制

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※手術目的の方が多いため、待ち時間が長くなることもあります。

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