老眼とは?
多焦点眼内レンズとは?
単焦点眼内レンズ(健康保険)

単焦点眼内レンズの見え方
遠くにピントを合わせた場合、遠くの風景やテレビはよく見えますが、近くのスマートフォンやコンピューターはぼやけます。老眼鏡などが必要です。
※近くにピントを合わせた場合は、手元は裸眼で見えますが、中間~遠方は眼鏡が必要になります。
多焦点眼内レンズ(選定療養、自由診療)

多焦点眼内レンズの見え方
眼鏡なしで、遠くの風景やテレビ、近くのスマートフォンやコンピューターにピントが合います。
当院での多焦点眼内レンズを用いた白内障手術の実績
白内障手術の実績
合計11,185件
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術の実績
合計2,097件
(2024年12月末集計)

年間約1,000件の白内障手術を行っています


多焦点眼内レンズを受けた多くの方が 眼鏡をほとんど必要としない快適な生活を送っています。院長の母親、副院長の母親も多焦点眼内レンズで手術を受けました。
多焦点眼内レンズの欠点
多焦点眼内レンズは目に入る光を遠近もしくは遠中近に分ける原理のため、健康保険の単焦点に比べて、コントラスト(見え方のくっきりさ)がやや劣るという欠点があります。普通は1週間から1か月程度で見え方に慣れ自然な見え方になり、日常生活で問題になることはほとんどありません。
ただし、①細かいものまでくっきり見たい方、②神経質な方、③白内障以外の目の病気がある方、④脳機能の低下したご高齢の方には不向きと言われています。
夜間に強い光(対向車のヘッドライトなど)を見たときに光をまぶしく感じたり(グレア)、光の周辺に輪がかかって見えたり(ハロー)する症状です。このグレア・ハローは正常な水晶体より眼内レンズの方が強く、単焦点眼内レンズより多焦点眼内レンズの方が強いと報告されています。手術直後に強く感じ、徐々に順応して1~2か月で気にならなくなる方がほとんどです。夜間の運転をよくする長距離トラック運転手やタクシー運転手、小さなことが気になる神経質な方は多焦点眼内レンズは不向きと言われていましたが、3焦点眼内レンズではかなり改善されました。



多焦点眼内レンズの費用
選定療養と自由診療の違い
わが国で多焦点眼内レンズの手術を受ける場合、選定療養か自由診療のどちらかの制度で受けることになります。選定療養で使用可能な多焦点眼内レンズはすべて厚労省に承認されたレンズです。選定療養では白内障手術の技術料、術後の検査、診察、投薬の費用が健康保険の適応で、多焦点眼内レンズに係る費用が全額自己負担です。そのため、自己負担額が自由診療より安くなる利点があります。
一方、厚労省の承認のない比較的新しい眼内レンズは自由診療となり、白内障手術自体の技術料の他に、術後の検査、診察、投薬の費用も自己負担になりますが、当院ではそれらすべてを自由診療の費用に含んでいます。自由診療の価格が選定療養に比較すると高いと思われるかもしれませんが、白内障手術自体の技術料、術後の検査、診察、投薬費用も含まれていることを考えると実は価格の差はあまり大きくはありません。

「選定療養:多焦点眼内レンズに係る費用」と「自由診療」費用のお支払い方法 : 銀行振込
※健康保険適応のご費用に関しては、窓口で現金でのお支払いとなります。
当院で使用している多焦点眼内レンズ
パンオプティクス(米国)選定療養
中間は約60cm、近方は約40cmに焦点が合う選定療養の適応となっている3焦点眼内レンズ。光エネルギーの配分は遠方が44%、中間が22%、近方が22%(瞳孔径3mmのとき)で、近方が22%のため薄暗いところでは、見えにくく感じることがありますが、手元を明るくすることで対処できます。光の損失は12%です。しかし、身長の低い方では近方焦点距離の40cmが遠く感じる方がいます。遠方から40cmくらいまで見たい方には最適なレンズ。グレア・ハローも従来の2焦点レンズより改善されました。

遠方から40cmくらいにピントが合う
光のエネルギー配分 | |
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遠方 | 44% |
中間(60cm) | 22% |
近方(40cm) | 22% |
光の損失 | 12% |
総合評価 |
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遠方~40cmくらいが見やすくなるレンズ。当院で最も多く使用されている多焦点眼内レンズ。 |
手術費用(片眼) | |||||||||
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白内障手術の技術料(健康保険適応) | 多焦点眼内レンズに係る費用(税込) | ||||||||
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ファインビジョン(ベルギー)選定療養、自由診療
光エネルギー配分は遠方に43% と多く、次に読み書きに必要な近方35cmに28%、最後にコンピューターなどの中間70cmに15%です。


一般的な回折型のギザギザした断面(左図)をスムーズにして(右図)、
乱反射を抑え、グレア・ハローを少なくしている
光のエネルギー配分 | |
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遠方 | 43% |
中間(70cm) | 15% |
近方(35cm) | 28% |
光の損失 | 14% |
総合評価 |
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遠中近のバランスがよい。 |
手術費用(片眼) 選定療養 | |||||||||
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白内障手術の技術料(健康保険適応) | 多焦点眼内レンズに係る費用(税込) | ||||||||
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手術費用(片眼) 自由診療 | |
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乱視なしの場合 | 乱視ありの場合 |
55万円(税込) | 63万円(税込) |
アクリバ・トリノバ(オランダ)自由診療
2017年にEUでCEマークを取得し販売が開始された比較的新しい3焦点眼内レンズ。中間は約90cm、近方は約45cmの焦点距離で、光のエネルギー配分は遠方が36%、中間が30%、近方が26%で(瞳孔3mmのとき)、遠中近すべての距離で同じような見え方になります。
レンズの表面はギザギザが少ないなめらかな同心円状のパターンのため、光の乱反射が比較的少なく、光のグレアやハローが回折型多焦点の中では少ない構造です。光の乱反射が少なく多くの光を有効に使用できるため光エネルギーの損失は8%と回折型の中では非常に小さな値です。
遠中近の光エネルギーの配分のバランスが良く光の損失も少ない優れたレンズですが、世界一平均身長の高いオランダのレンズであり、近方の焦点距離が45cmで、平均的な体型の日本人では遠く感じます。手足の長い身長の高い方に適したレンズです。

一般的な3焦点レンズの表面と断面:ギザギザの部分が乱反射してグレア・ハローの原因、光の損失の原因となる。

アクリバ・トリノバの表面と断面:なめらかな正弦波パターンで光を分けるため乱反射が少ないためグレア・ハローが少なく、光の損失も少ない。
光のエネルギー配分 | |
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遠方 | 36% |
中間(90cm) | 30% |
近方(45cm) | 26% |
光の損失 | 8% |
総合評価 |
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近方の焦点距離が45cmと遠く、手足の長い身長の高い方に向いている。 |
手術費用(片眼) | |
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乱視なしの場合 | 乱視ありの場合 |
55万円(税込) | 63万円(税込) |
レンティスMプラス(ドイツ)自由診療
上方が遠方、下方が近方約45cmのところに焦点が合う単焦点レンズを組み合わせた多焦点眼内レンズ。光エネルギーは遠方に55%、近方に40%配分され、回折型レンズと比べて光の損失が5%と非常に少なく、しかも単焦点眼内レンズの組み合わせのため、コントラスト(見え方のくっきりさ)が良いレンズ。遠方と近方(約45cm)の2焦点ですが、それぞれのコントラストが良いため中間の見え方の落ち込みが少なく、近方も35cmから55cmくらいまでピントが合います。乱視矯正用レンズは0.01D刻みと従来の眼内レンズの50倍の精度でオーダーメイドで作成できる世界最高精度のレンズです。
しかし、欠点としてゴーストと呼ばれる物がダブって見える現象があり、神経質な人や脳機能の低下した高齢者は注意が必要です。
回折型のような同心円状の溝がないためハローは少ないと言われています。遠方と近方の境目があるため、強い光を見ると乱反射して見えるグレアがあります。
遠方と35~55cmくらいに焦点が合う。中間の落ち込みは少ない。
光のエネルギー配分 | |
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遠方 | 55% |
近方(45cm) | 40% |
光の損失 | 5% |
総合評価 |
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コントラストはよいが、高齢者ではゴースト現象を感じることがある |
手術費用(片眼) | |
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乱視なしの場合 | 乱視ありの場合 |
55万円(税込) | 63万円(税込) |
インテンシティ(イスラエル)自由診療
独自の技術(特許技術)で、光の損失を6.5%と回折型の中では極めて少なく抑えることで、光を最大限効率的に利用できるレンズ。遠方5mに36%、133cmに7%、80cmに21%、60cmに9%、40cmに21%(光の損失6.5%、瞳孔径3mmの時)に光を分けて5つの焦点を実現。
各距離での見やすさ(MTF曲線)
遠方、80cmの中間距離、40㎝の近方が見やすくなります各回折型多焦点眼内レンズの光の損失
インテンシティは光の損失が6.5%と少なく効率的な眼内レンズです回折レンズの特徴である光を分けるレンズ表面のギザギザをスムーズにしてグレア・ハローを少なくしている
光のエネルギー配分 | |
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遠方 | 36% |
遠中(133 ㎝) | 7% |
中間(80㎝) | 21% |
中近(60㎝) | 9% |
近方(40㎝) | 21% |
光の損失 | 6.5% |
総合評価 |
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最新技術で光の損失を6.5%までに抑えた効率的な眼内レンズ |
手術費用(片眼) | |
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乱視なしの場合 | 乱視ありの場合 |
55万円(税込) | 63万円(税込) |
今まで紹介した多焦点眼内レンズが遠近、または遠中近に光を分けるコンセプトで作られているのに対し、ピントの合う幅を広くして遠方~近方まで連続的に見えるようにしようというコンセプトが焦点拡張タイプです。
ビビティ(米国)選定療養
2023年に日本で承認された新しい多焦点眼内レンズ。光を分けることなく遠方から50㎝くらいまでの広い範囲で焦点が合うが、近方の見え方は個人差があります(若い人ほど良好)。40歳代後半から50歳代前半の初期老眼に近い見え方。原理的に新聞や雑誌の小さな文字をはっきり見たい時は眼鏡を掛けた方が見やすいと考えられます。 光を分けないため、従来の多焦点で弱点とされていたコントラストは単焦点と同程度に良好で、夜間の光の乱反射(グレア・ハロー)も単焦点と同程度に少ないと言われています。そのため、従来の多焦点が不向きとされていた①脳機能の低下が予想される高齢者(75歳以上)、②細かい所までクッキリ見たい方(ビビティでは見えにくい場合は眼鏡で単焦点同様のコントラストが得られる)、③比較的軽度な目の病気のある方(初期緑内障や軽度の網膜前膜など)、④夜間の運転を重視する方にも使用できます。 ただし、乱視対応のものはありません。

総合評価 |
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多焦点の欠点とされてきたコントラストやグレア・ハローは単焦点と同程度に改善。ただし、近くの見え方は3焦点や2焦点より劣る。 |
手術費用(片眼) | |||||||||
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白内障手術の技術料(健康保険適応) | 多焦点眼内レンズに係る費用(税込) | ||||||||
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ミニウエル(イタリア)自由診療
ミニウエルレディ 正の球面収差と負の球面収差のレンズを組み合わせた新しいコンセプトの多焦点眼内レンズ。遠方から50cmくらいまでの範囲にピントが合います。グレア、ハローは単焦点と同程度に少ないと言われています。

総合評価 |
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多焦点の欠点とされてきたコントラストやグレア・ハローは単焦点と同程度に改善。ただし、近くの見え方は3焦点や2焦点より劣る。 |
ミニウエルプロクサ ミニウエルレディの収差部分を拡大し遠方から30cmくらいまでの範囲にピントが合うように作られたレンズ。近方の見え方はミニウエルレディより良好だが、遠方~中間にかけてはやや劣る。また、ミニウエルレディでは感じにくいグレア・ハローも感じる可能性がある。そのため、片眼をミニウエルレディで手術し、もう少し近方を見たい方に使用することが勧められている。
総合評価 |
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ミニウエルレディより、近方の見え方が改善。ただし、遠方~中間の見え方はやや劣る。 |
手術費用(片眼) | |
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乱視なしの場合 | 乱視ありの場合 |
55万円(税込) | 63万円(税込) |
多焦点眼内レンズの向き不向き


多焦点に向いている方 | 単焦点に向いている方 (多焦点に向いてない方) |
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見え方の要望 | 出来るだけ眼鏡を掛けずに 遠くも近くも(中間も)見たい |
眼鏡を掛けてでも くっきり見たい |
年齢(脳年齢) | 若い | 高齢 |
性格 | おおらか 前向き |
神経質 完璧主義 |
ライフスタイル | 右記以外の方 | 細かいものまで くっきり見たいような 職業や趣味のある方 |
夜間の運転 | しない あまりしない |
よくする |
屈折の状態 | 遠視、正視、 近視でコンタクト使用の方 |
近視で眼鏡を使用し、 眼鏡を外して近くを見る方 |
白内障以外の 眼の病気 |
ない あっても軽度 |
ある |
単焦点眼内レンズは1か所にピントが合い完全な老眼になる眼内レンズです。老眼を全く感じていない若い方が単焦点で手術を受けると、老眼の見え方の不自由さに初めて気づき不満をもつことが多々あります。50歳未満で老眼を全く感じない、もしくはわずかに感じる程度の方は老眼にならない多焦点眼内レンズの方が良いと思います。50歳代の方も遠近、遠中近が見える見え方に慣れやすく多焦点眼内レンズに向いています。
逆に、数十年間にわたって老眼の状態で生活してきた高齢者では単焦点の方が無難です。理由は、遠視や正視で老眼鏡を使用していた方にとっては、手術後も手術前と同じように老眼鏡を使用することになり、もともと近視で眼鏡を掛けていた人にとっては術後も同じように眼鏡が必要となるため、手術による見え方の変化が少なく慣れやすいからです。
よく聞かれるのが「何歳まで多焦点眼内レンズは大丈夫なのか?」という質問です。75歳までとか80歳までとか言われていますが、実際は実年齢より脳年齢が大切と考えられています。当院でも80歳以上でもテニスやゴルフが好きで若々しく見える方は多焦点眼内レンズにも良く順応されることを、何度も経験しています。逆に、70歳代でも軽度の認知症の方など脳機能が低下している方は順応しにくいこともあります。

多焦点眼内レンズの初期から、「神経質な方、完璧主義な方は多焦点眼内レンズに向かない」と言われていました。実際に多数の手術を行うと、その通りだと思います。多焦点眼内レンズは遠くも近くもピントが合うという大きな利点がある一方で、やや見え方のくっきりさ(コントラスト)が劣る、夜間の運転時に光が乱反射する(グレア・ハロー)という欠点があります。通常はこれらの欠点に対しては脳が順応していき、徐々に自然な見え方になっていきます。
ところが、神経質な方や完璧主義な方は、これらの小さな欠点ばかりを気にするあまり脳順応が起きにくく、手術自体に不満を感じるようになる方がいます。多焦点眼内レンズの大部分の方はとても満足されますが、単焦点眼内レンズに入れ換えてほしいと思う方が1%前後いて、当院でも実際に入れ換え手術を行っています。
もともと遠視や正視で遠くが見えていて老眼鏡を使用していた方にとっては術後も同じように老眼鏡が必要となり、もともと近視で眼鏡を掛けていた方にとっては術後も同じように眼鏡が必要となる単焦点眼内レンズの方が、手術による見え方の変化が少なく慣れやすいため、環境の変化への順応に時間がかかる神経質な方や完璧主義な方には無難と思います。
多焦点眼内レンズは光を分けて遠近もしくは遠中近を見る原理のため、見え方のくっきりさ(コントラスト)は単焦点よりやや劣りますが、日常生活での眼鏡の必要性が少なくなります。スポーツ好きや旅行好きで社交的で活動的な方に大変喜ばれます。また、お客様の前で老眼鏡を掛けたくないようなサービス業、接客業の方にもとても喜ばれます。
一方で、細かいことまでくっきり見たい職業(例えばウエブデザイナーやコンピューターの細かい文字を一日中見ている仕事など)では、見え方がクッキリする単焦点で手術を受け眼鏡を掛ける方が向いています。
もともと近視で眼鏡を掛けていた方は眼鏡を外して近くを見る習慣のある方が多くいます。しかし、多焦点眼内レンズの多くは外国製で、近方の焦点距離が遠いものがほとんどです。そのため、もともと近視の方が多焦点眼内レンズの手術を受けると「近くが見えにくくなった」と不満に思われることが時々あります。今まで見えていた位置より焦点が合う位置が遠くなるためで、多くの方は新しい焦点距離に順応していきますが、環境の変化に順応しにくい神経質な方では、なかなか慣れないこともあります。
①近視で眼鏡を普段かけていて眼鏡を外して近くを見る習慣のある方で、②神経質な方は、多焦点は避けて単焦点で手術前と同じ程度の近視になるように手術して、出来るだけ環境の変化を小さくすることを勧めています。
多焦点眼内レンズは目に入る光を遠近(または遠中近)に分けるため、すべての光を1か所に集める単焦点より見え方の質(コントラスト)は原理的に劣ります。ただし、網膜や視神経、脳の機能に問題がないと、このコントラストの差は、ほとんど問題になることはありません。
しかし、白内障以外の眼の病気(角膜の病気、緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症などの網膜の病気、視神経の病気など)がある場合は、白内障手術をしても、見え方の回復に限界があります。このような方に多焦点で手術を行うと、すべての光を1か所に集める単焦点よりずっと見えにくく感じる可能性があります。そのため、視力に関係するような白内障以外の眼の病気がある方は単焦点の方をお勧めしています。
(白内障以外の眼の病気が、ごく軽度の場合は多焦点でも問題ありません。手術前に検査してどの程度の視力改善が期待できるか説明します)
多焦点眼内レンズに不安を感じる方へ
多焦点眼内レンズは様々な種類があり、それぞれ利点・欠点があります。左右に違うレンズを移植し、それぞれの利点を生かし、それぞれの欠点を補い合う方法をミックス・アンド・マッチと言います。
実際、術前にどのレンズがよいか迷われる方はたくさんいます。当院では、まず自分がベストと思われる眼内レンズを片眼に移植し、手術後にその見え方を十分に確認して頂いてから他眼の眼内レンズの種類を考える方法をとっています。例えば、もう少し近い距離を見たいなら他眼には焦点が合う位置が近いレンズを、もう少しはっきり見たいなら他眼にはコントラスト(くっきりさ)に優れたレンズを移植するなどして対処します。
手術後に見え方を確認するには、通常の日常生活、仕事、趣味、運転などいろいろな場面での見え方を確認して頂かなければならず、そのため両眼の多焦点眼内レンズを希望される方は2週間以上の間隔を空けて手術を計画します。片眼の手術の後に見え方に慣れにくい場合には一旦手術を延期して十分に見え方に慣れてから他眼の手術方法を考えます。手術後に見え方に不安がある、不満があるような場合は、遠慮せずに職員や医師に言ってください。今までの多数の経験から最も良いと思われる対応法を考えます。
多焦点眼内レンズはコントラスト(見え方のくっきりさ)が単焦点よりやや劣ることが知られていますが、徐々に見え方に脳が順応して自然な見え方になります。多焦点眼内レンズのもう一つの欠点として夜間の運転時に対向車のヘッドライトが乱反射するグレア・ハローがありますが、ほとんどの方が数か月で見え方に脳が順応し気にならなくなります。しかし、環境の変化に順応しにくい神経質な方や、脳機能の低下したような高齢者の中には、なかなか脳順応が起こらずに、多焦点眼内レンズの見え方にどうしても慣れずに眼内レンズの入れ換え手術を希望する方が1%程度いると言われています。当院でも約1500眼の多焦点眼内レンズの手術を行ってきましたが、同じように約1%の方で単焦点眼内レンズに入れ換え手術を行いました。手術前に、多焦点眼内レンズが脳に順応できるかどうかが分かれば良いのですが、人の性格や脳機能を眼科医が手術前に正確に判断するのは難しく、実際は手術してみないと分からないというのが現状です。
一般に白内障手術では、術後徐々に眼内レンズと水晶体の袋がくっついて(癒着して)眼内で安定します。手術後3~4か月以内でしたらまだ癒着が少ないのでほぼ安全に眼内レンズの入れ換え手術を行うことが出来ますが、術後半年以上経ち癒着すると合併症が起こる可能性が高くなると言われています。当院では手術後3か月以内に多焦点眼内レンズから単焦点眼内レンズへ入れ換え手術をする場合は無料で行っています。
また、手術後どこにも異常がないにもかかわらず、「何となくかすむ」、「ふわふわ影が見えて見えにくい」と感じられる方の中に硝子体の混濁が原因の事があります。当院では硝子体手術を行っていませんので、硝子体手術の専門の施設に紹介し硝子体の濁りをとる手術を受けることで、見え方が改善することもあります。
眼内レンズの選択は、その後の人生の見え方を左右するので、どの眼内レンズが自分に一番合うか、あれこれ悩まれる方も多数いらっしゃいます。合わないと思う場合は、眼内レンズを入れ換えてやり直すというのも一つの手です。手術後に、見え方に不安や不満がある場合は気軽に医師や職員に相談して頂けたらと思います。一緒に解決法を考えます。
白内障手術のよくある質問
-
A. 基本的には受けられます。ただし近視が強い方は網膜の中心部の機能が落ちていて術後の視力が出にくいことがあります。
多焦点眼内レンズの度数の製造範囲外になるような強い近視の方では多焦点眼内レンズで手術できないことがあります。 -
A. 基本的に手術の方法自体は変わりなく、手術時間も、合併症の頻度もほとんど変わりません。
ただし、多焦点眼内レンズは単焦点眼内レンズよりデリケートで、眼内レンズを傾きなく瞳孔中央に正確に固定する必要があります。
そのため、白内障手術に熟練した眼科医が行うべき手術です。 - A. 白内障の無い方の目の状態によりますが、基本的には手術できます。見えているつもりの反対の目にも白内障があることも結構あります。 左右の見え方のバランスが重要になるので、適応があるかどうかは十分な検査をしてからご説明します。
- A. すでに手術されている単焦点眼内レンズの目の屈折(近視、遠視、乱視の度数)の状態や、今回白内障になった目の状態によって総合的に判断します。適応があるかどうかは十分な検査をしてからご説明します。

電話予約の場合 096-377-1701
電話予約受付時間 月~木 8:30-12:00 / 13:30-17:00
金、土 8:30-12:00
受付時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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午前8:30〜11:30 | 外来 | 外来 | 外来 | 外来 | 外来(手術) | 外来12:00まで |
午後1:30〜4:30 | 外来(手術) | 外来(手術) | 外来(手術) | 外来(手術) | × | × |
[ 休診 ] 日曜・祝日
